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オーソドックスなスタイル。しかしそれとは裏腹な、熱い走りと官能のサウンド。 | ||
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ストロークの短いシフトノブを1速に入れパワー感を試す。低速から十分なトルクだ、ライバル達に較べ395psという最高出力はいささか物足りないが、アクセルのツキとエンジンレスポンスは申し分ない。それにこのサウンドだ。1速でレッドゾーン(メーター内では特に赤く表記されてはいないが)付近まで回すと、エキゾーストはファーンという咆哮に変わり、ドライバーのその気を刺激する。アドレナリンを呼びますサウンドだ。エキゾーストサウンドまで、徹底的にチューニングしたという開発陣の言葉どおり、この音は、かつて聞いたどのV12アストンマーティンよりも刺激に満ちている。スポーツカーなら、エキゾーストノートにやられる──とは良く聞くハナシだが、このサウンドだけでもV8ヴァンテージを選ばせる価値がある。 フェラーリ? 確かにF430の音は情熱的だ。だが、あのスタイリングにしてのサウンドである。その流れに違和感はない。スタイリングから導き出される想定内のサウンドだ。911? 独特だが華がない。だが、V8ヴァンテージは違う。このジェントルなエクステリアデザインから、回すほどにどうしてそんな官能的なサウンドが出てこようと誰が考える? そのギャップが刺激的なのだ。クールな女性がふたりだけの時にもうひとつの顔を持つように、男にとって、それは甘く官能に支配された刺激に満ちている。 |
ワインディングを走り続ける。 驚くべき旋回スピードだ。まったくもって速い。ノーズの向きの変わり方やそれに追随する後輪。ミシリともいわないボディ。そして驚異的なスタビリティ。シャープだがことさらそれを強調しないノーズの動きは、V8が車体の中心にあることをいやでもイメージさせる。前後51:49の理想的な重量バランスは、フロントミッドに搭載したV8ユニットと、トランクアクスルの6速ギヤボックスが生み出され、得られた美点。だからこそドライバーまでを一体とする、まるで魔法のようなコーナリングが可能になるのだ。 驚くべき旋回スピード。 かつてこのフレーズを2度、使ったことを思い出した。それはBMWのM5とアストンマーティンDB9のレポートでだった。やはり名家の血は争えない。アストンマーティンのDNAはここでも脈々と受け継がれている。 単独で走る分にはシエナの道の狭さも気にならないほどの一体感。 クリップに着く。パーシャルから右足に力を込め、加速、加速。トラクションコントロールシステムの不快な介入も皆無だ。さらに加速、加速。 だが、フロントが心もとなくなるような荷重移動は、ステアリングに伝わってこない。いや、物理的にそんなはずはないのだが、イメージは確かにフロントのダンパーが伸びを制御し、あ たかも荷重変化ゼロのような錯覚をもたらす。フロントが浮かない、それは911にはないフィーリングだ。 |
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