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オーソドックスなスタイル。しかしそれとは裏腹な、熱い走りと官能のサウンド。 | ||
その名は、アストンマーティンV8ヴァンテージ。新生アストンマーティンが2+2シーターのDB9に続いて送る、第3のモデル。385psの最高出力を誇る新開発のV型8気筒ユニットをフロントミッドにマウントし、後輪を駆動。DB9同様にVHプラットホームと呼ばれるアルミ押し出し材を接着リベット止めしたシャシーに複合素材やアルミ、さらにはマグネシウムの構造材を組み合わせるボディは、モダン・アストンマーティンの文法どおりのフィニッシュだ。 すでに今年のジュネーブ・ショーでワールドプレミアを行ない、その姿を公表したV8ヴァンテージだが、メタリックボディのカラーリングを中心に選ばれた今回の試乗車は、そのジュネーブ・ショーで我々の良く知るイエローの鮮やかなボディカラーを持つV8ヴァンテージにはない、どこか硬質なアピアランスを表現していた。 ソリッドで、大きな金属の塊から削りだしたようなエクステリアのイメージ。複合素材を多用しているボディにしては、あまりにも質感が高い。実車を目の当たりにして、引き締まったマッシブなアスリートを連想せずにはいられない。前後のオーバーハングは短く、V8ヴァンテージに較べると、あろうことかあれほどスタイリッシュなDB9が、どこか線の細い間延びしたクルマにさえ見えてくる。ドアやボンネット、トランクリッドのチリはいうまでもなく、金属パーツのメタリック感もグレードが高い。それはたとえば、このV8ヴァンテージのライバルと目されるフェラーリのF430に対してもいえるアドバンテージ。最新のポルシェ911ではもはや感じられない、ソリッドでクールな何かだ。 |
試乗会場はイタリアのシエナ。ミッレミリアで有名なこの街は、のどかのワインディングが続くカントリーロードを有する。イタリアの例に洩れず、スポーツカーにはその自慢の足まわりを試させる絶好のシチュエーション。 だが、ミッレミリアを戦う往年のレーシングマシン達と違うのは、このV8ヴァンテージが1866mmという全幅を持つ、今どきのスポーツカーというところである。そう、シエナのワインディングは、このクルマには狭すぎる。若干の不安に苛まれながら、ドライビングポジションを合せる。 シートはこれもアストンマーティン流に、センターコンソール内側にスイッチを持つオールパワードだ。チルトやテレスコピックの範囲も広い。ステアリングのポジションもピタリと決まってくれる。ステアリングホイールは大きくもなく小さくもなく。スポーティさを演出するのであれば、最近流行のD型の異型デザインを採用してもいいのだろうが、オーソドックスにまとめるのが、これもアストンマーティン流なのだろう。グリップ感もいい。 あくまでもジェントルな統一感。派手さはないが、自己主張も少なからずする。これに較べてしまえば、911のプラスッチッキーなインテリアがチープに思えてしようがない。911の機能性は確認済みだ。だが、これとでは分が悪い。フェラーリはスポーティを分かりやすく視覚化するデザインと情熱的なテイストの表現にやはり長けているが、それを過剰な演出と取る向きも少なからずいるはずである。 |
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