ROSSOスーパーカー、プレミアムカー&エンターテイメントマガジン「ロッソ」定期購読NEKO BOOKSお問い合わせサイトマップネコ・パブリッシング
デトロイト・ショーのショー。

毎年、インターナショナル格式のモーターショーの幕明けはアメリカです。『一年の自動車業界の計はデトロイトにあり』と言った感じでしょうか。各社、社長さんをはじめ首脳陣がプレスカンファレンスを行ない、素晴らしい一年になることに期待して一年の計画、さまざまなコンセプトカーや新車発表などを行ないます。

ハリケーンの景況によるガソリン高騰やGMやフォードの業界不振が新聞をにぎわしてもアメリカは大きな自動車マーケット。アメリカの自動車メーカーの現状を耳も尻尾も垂れ下がり気味なワンちゃんと例えるなら、ドイツと日本、そして韓国のメーカーが「こっちを向いて見てみて〜」と元気よく尻尾をフリフリしているという雰囲気がショー会場はもちろん、場外の販売競争にもうかがえます。

などと元気の無さそうなアメリカ・メーカーであってもプレス発表はやることが凄い。クルマもデカけりゃやることもデカイというか、クルマがデカイからやることも負けじとデカイのか。フォードはコンサートやスポーツ競技を開催するアリーナを占有し、グループ各社の発表会を行います。円形の客席がステージを囲み、これぞ正しく自動車のショーという華やかさもたっぷり。デトロイト・ショーに行き始めたころは、それを見ただけで「アメリカって凄い!」と思わされたものです。

遊裕紀行

遊裕紀行

遊裕紀行ところが、ここ数年のマイブームはクライスラー。今年もやってくれました。ニューヨークからパフォーマンスのプロを連れてきて、ラスベガスのショーの一部を見ているような演出を今年投入するモデルの発表にしかけてきました。ピエロの演技が始まって、これは人寄せのためのイントロダクションかと思って見ていると、絶妙のタイミングで首脳陣やクルマが登場するのです。ピエロと言ったって玉乗りをする類のものではなく、表情も豊かにストーリーのある演技をします。

ダッジ・カリバーの回ではエンジンの説明をしている間もピエロさんたちは説明を行なう人にちょっかいを出し、トランクやドアを開けたりと大忙し。おかげで真面目にエンジンの説明をしている間にも笑いや拍手が沸き起こっていました。

度肝を抜かれたのはジープ・ラングラーのフルモデルチェンジの発表! ボディ剛性もさらに高まるなどの説明があった後、「それじゃ」とそのクルマに乗ってステージから去っていきました。ここまではごく自然な演出だと思っていたのですが、クルマは会場内からホールのロビーへと走り抜け、そのままガラスを突き破って外に! 交差点を横断した先にある特設の展示台へと向かうために階段を駆け上がるというパフォーマンスまで魅せてショーは終了。ガラスを突き破る瞬間、場内に驚きの声が上がったのは言うまでもありません。クルマのパフォーマンスを紹介するのには何ともピッタリな演出でした。

遊裕紀行

遊裕紀行

最後はクライスラーのアスペン。実は風邪をひいて熱があったため朝起きるのが辛かったのですが、朝一番に始まるショーを見逃すわけにはいきません。でも行ってよかった! またまたやってくれました。前日に続き、同じパフォーマーたちの演技。そしてそのひとりが犬の遠吠えのような声を発したかと思うと、そのままこれが続いたら遭難するんじゃないかと思うほどの紙吹雪が強い風とともにステージから客席に向かって飛んでくるではありませんか。猛吹雪の状態です。そしてそこから眩しいほどのライトアップとともにアスペンの登場。実はピーチ前半の内容は印象にありません。カンファレンスに訪れた誰しもの頭という頭、膝という膝一面に紙吹雪。唖然とする一方ドキドキも止まらない。家に戻って服を着替えたときにもその紙吹雪がパラパラと落ちてくるほど、服の中にまで入り込むほどアスペンの吹雪は凄かったのでした。

遊裕紀行

遊裕紀行

一見、いくらモーターショーだからと言ってここまでやってしまうと、商品であるクルマの印象が薄れるのではないかと思いがちです。確かにそれも一理あります。しかし、会場では100台を超えるモデルを一度に見るわけですから、全部を記憶に留めるのは難しい。けれど、たとえインパクトのあるプレゼンを行なったメーカーのモデルたちがどんなスペックかは覚えていないとしても、記憶に残るというのも事実。そう言えば、ダイムラーも会議室で会議を行なっているシーンからカンファレンスのストーリーが始まって、ドクター・チェッチェ氏がSクラスからGLまでを説明。日産はゴーンさんがあまりにも短いスピーチで拍子抜けしたけれど、記憶に残っています。トヨタもレクサスを含め話の上手な白人のオジサンが度々登場し、おかげで英語のスピーチなのに一部の内容は頭に残っています。

これはプレスデイのみに行なわれる内容のご紹介ですが、モーターショーがひとつのショーである以上楽しくなくちゃ、と改めて思うのでした。

2006/01