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11月下旬、ラスベガス&グランドキャニオン&モニュメントバレーへの小旅行に出かけました。ロサンゼルスから目指すはクルマで約5時間半のラスベガス。ところが途中でほんの少し遠回りをするだけでデスバレー国立公園に立ち寄ることができるというので、予定を変更。せっかくならひとつでも多くの国立公園を見てみたいという欲が出るのは自然の成り行きでしょう。
参考までにお伝えしておくと実はモニュメントバレーは国立公園には指定されていません。ですが、そのスケールと風景は私の想像を超え、この世にこんな風景が実際にあるなんて、これぞ正しくウナルほどの凄さ。無言になるか、「へーっ」と笑ってしまうか、ウナルかせずには見られぬほど凄いところでした。クルマで同じ体験をしたのは、レーサーの弟が運転するGTカーの助手席で減速Gというものを知らされたときと、フェラーリF355という『市販車』でダウンフォースというものをこの手とお尻で実感したとき。どちらも目に見えない力に圧倒されたわけですが、その風景は目に見えてウナルほど凄く目に見えないパワーを感じ自然の創造物としては過去最高の感動を受けました。
さてお話をデスバレーに戻しましょう。日本語で言えば『死の谷』という恐ろしい名前のつくデスバレー。青森の恐山や九州の地獄谷のように見た目がおどろおどろしいかと言えば、実はドライブをしていると次々と移り変わる美しく雄大な風景を楽しむことのできる場所です。園内の雄大な山々はコロラドやカナディアンロッキーのような緑の豊富な山々というわけではなく、さまざまな成分を含んだ岩山が主で、これまでに見たことのないモスグリーンや淡いサーモンピンク、鮮やかなイエローや赤茶などが地層を形成しています。また、ここでは太古は浅い海だったところが干上がり真っ白くなった塩原の広がる風景を眺めたり、その上を歩くことも可能。砂漠ではサンドバギーやオフロード4WDをブイブイと走らせたり(やってみたい)、キャンプサイトでキャンプを楽しむ光景を目にすることもできます。
しかし、過酷な砂漠地帯にあり、潤い度という点ではほぼゼロ。夏の平均気温は50度を超え、夜でも38度を下回ることは稀と言われており、ここは全米の国立公園はもちろん、世界でも最も暑い場所のひとつとされているのだそうです。それが『死の谷』と名のつく所以なのでしょう。11月下旬ともなれば、ロサンゼルスでも上着が必要で、お洒落な女子はフワフワのファーがついたブーツを履いている姿だって珍しくありません。ところがここデスバレーでは、Tシャツでいるのが何とも心地よく日差しも強い。
そんな気候ゆえ、実は他では見たことのないドライブ対策がここでは施されていたのでした。『地球の歩き方 アメリカの国立公園』のデスバレーの地図を手にクルマを走らせていくと、所々にラジエーター水補給場というマークが点々とありました。辺りの風景に魅了されていると見落としてしまいそうなソレ(ラジエーター水補給場)は、地図が指し示すその場所を2往復してやっとそれらしきものを見つけたほど、実はアッサリとしたものでした。小さなタンクに水道のコックと蛇口をつけたこの補給設備が道端にポツンとあるだけ。とりあえずコックをひねってみると、透明な水がチョロチョロと出てきて、「コレなのぉ〜?」とややガッカリしたというのが正直な感想です。ラジエーター水が無くなってエンジンをオーバーヒートさせた経験のない私にとっては、想像もつかないアクシデントですが、最悪の状況を考えたら何と恐ろしく、これがどんなにか役立つことでしょう。ただしこのタンク、ホースなどが完備されているわけではないので何か別に容器が無ければラジエーターには補給できません。旅行雑誌によってはデスバレーへは真夏はキケンとか、デスバレーに入る前には必ずガソリンとラジエーター水を満タンにし、さらに水を持参すべしと注意を促しています。
こんな所を国立公園に指定し、一応のドライブ対策を施すのがアメリカなのか? 年式や信頼性もさまざまなクルマが存在する、このクルマ大国ならではのサービスとも言えるでしょう。きちんとルートを整備し自然を保護しつつ他では見られぬ雄大な風景をドライブしながら堪能することができるのだから、やっぱり有難い。今回、合計で3つの異なる自然を満喫したおかげで、アメリカの素晴らしさは自然だと確信しました。歴史の浅いアメリカにあって、自然ほど歴史を持つものもないですからねぇ。国立公園、バンザーイッ!
2005/11