ROSSOスーパーカー、プレミアムカー&エンターテイメントマガジン「ロッソ」定期購読NEKO BOOKSお問い合わせサイトマップネコ・パブリッシング
オハイオのおすすめ観光スポットその1アーミッシュの住む町。

遊裕紀行ロサンゼルスやニューヨーク、フロリダなどは、その名を聞けばさまざまな観光スポットが思い出せるでしょう。ではオハイオは? と聞かれたら……? 誰もがどんなところなのか、どこにその州があるのかなんてきっと想像もつきませんよねぇ。しかし、住めば都。他にはない魅力的なスポットもほんの少しですが、あるのです。

オハイオ州と言ってもその範囲は広いのですが、私の住んでいたコロンバス市周辺で一番おすすめの場所は、『アーミッシュ』という人々が暮らす町です。いくつもありますが中でも私が多く訪れたのは『Berlin』という小さな町でした。

遊裕紀行北海道のような牧歌的な風景の中を走っていくと所々に家がポツン、ポツンとあり、私たちがけして身に付けることのない独特の洋服が庭先に干されています。気持ち良さそうに日の光を浴び、風にユラユラとなびいている光景からは懐かしさすら感じられます。また無造作に停められているのはクルマではなく馬車。もちろんドライブ中に馬車と遭遇することもアーミッシュが住むエリアに近づけばけして珍しいことではありませんでした。

アーミッシュとは、キリスト教の一派であるメノナイト派に属する人たちのことを言います。もともとはスイスからやって来たそうですが、現在はペンシルヴァニア州やオハイオ州に最も多くの人々が暮らしているようです。

遊裕紀行 遊裕紀行 遊裕紀行

彼らは電気や電話、クルマなどを使わずに生活しています。さらに、独自の言語も持っているのだそうです。移動手段の基本は、馬車もしくは自転車もしくは徒歩。学校教育や生活保障制度なども独自のルールや内容で行なうことを認められています。電気は風力発電や水力発電などによって得られる電力なら可能。お料理や暖房設備にはガスを使っているようでした。服装も極めて質素で特に大人は決められた色の決められたスタイルの洋服や帽子を身に付けなくてはいけないのだとか。それもみんな手作りなのだそうです。

ここを訪れるようになった最初の頃は、人々のスタイルや馬車にとっても興味を持ちました。しかしアーミッシュの皆さんはここでごく普通に生活をしているわけで、見世物ではなく、カメラを向けたり注目することは失礼だし、けして喜びません。観光客の視線を察知する能力も抜群で、すぐに嫌がられているとわかります。しかし、彼らの経済は農業と乳製品やお肉などの加工業、観光業が支えており、観光業に従事している人については所により記念撮影も可能でした。

遊裕紀行遊裕紀行

遊裕紀行町の中にはアーミッシュの生活を紹介する施設や経営するお店などもたくさんあります。製品として有名なのはアーミッシュの家具とキルトです。家具は基本的に釘を使わずに作られ、全てが手作りなのに比較的値段が手ごろなので人気があります。独自のルートで運び込まれる木材の質の高さも高く評価されているのだそうです。またアーミッシュの女性たちが作るキルト製品は高価ですが緻密かつ独特の風合いを持ち、こちらも人気があります。

Berlinという町まではクルマで2時間ほどかかりますが、私の家の近所にもアーミッシュが経営する雑貨屋さんや食料品店、家具屋さんなどがありました。おかげでアーミッシュが作ったハムやソーセージ、チーズをしばしば買うこともありました。またお肉や卵は新鮮なことで有名で、生卵をけして口にしないアメリカ生活の中でもアーミッシュの卵を買ってきた日だけは生で食べてもOKでした(注:けしてお店の人が認めているわけではありません)。

オハイオに住むことがなければ、アーミッシュについて知ることも、こんな風に興味を持つこともなかったと思います。さらにこの小さな町を訪れることで私はホッとし、癒されたことも間違いありません。明らかにここは別世界。まるで何かのアトラクションか映画の中に身をおいているような独特の空気を持っています。こういうのを質素だけれど豊かな生活と言うのでしょう。でもちょっと窮屈そうかしらん。

遊裕紀行自分にとってはクルマも電気も電話も無い生活なんて考えられません。洋服選びに悩んだり、映画やTVドラマを観て泣いたり笑ったり、友人と長電話をしたり、もちろんクルマで走る楽しさも捨てられない。でもアーミッシュの町を訪ねることで自分の俗っぽさを見つめなおす良い機会が得られました。

遊裕紀行日本からわざわざ訪れる機会はないかもしれませんがもしご興味があれば、アーミッシュの居住区が舞台となっている映画、『刑事ジョン・ブック/目撃者』(ハリソン・フォード主演)をご覧になると、その雰囲気がわかるかもしれません。

2005/06